知ってしまった地下室

知らぬが仏、でも知っていた方が良い闇もあると思ったので私はきいた。



私が入店したときは、既にいまの店長と社長がうちの店と系列の飲み屋の管轄だった。だから私は店長と社長の両方から前の店長の悪口しか聞いてなかった。



けど、本当の悪者はいまの店長と社長だった。



前の店長は厳しい人だったけれど、仕事はできて売上も客足も伸ばす人だった。


いまの店長は仕事が出来ず売上も客足もガタ落ちになり、さらに社長は女癖が悪く、うちの店といまある飲み屋以外に今はもうない2店舗あったキャバクラに入店する子やうちの店に入店する子達を食い散らかし、狭いこの町で噂がたち入店する女の子はいなくなり、女の子がいなければお店はまわらず売上も必然的に落ち、そして2店舗のキャバクラを潰した。


それと社長はギャンブル、特にスロットが好きだったから店の金をくすねたり「給料日に返す」と釣り銭を持ち出したりしていた。


前の店長はそれを断った。いまの店長は社長とズブズブで融通をきかせた。


前の店長は社長のセクハラを本部の会長にFAXで伝えなんとか悪い状況を変えようとしたが、会長の目に入る前に社長とズブズブの本部の別な人間に潰され、そしていまの店長と社長で前の店長を徹底的に潰しにかかった。



そして、いまの現状がある。



なあなあ、だらだら、誰も来ないお店なのは田舎だから、時代が変わったから、そう思っていたけど違った。



うちの店や系列の飲み屋に入店する子は、社長の女癖の悪さを知らないか、知りながらも食い扶持を稼ぐために覚悟の上で入店するかのどちらかだ。


私はよそ者だったから、何も知らなかった。



それから、いまの店長はニコニコ笑顔で優しくてよく話を聞いてくれていつも助けてくれた。


でも、本当は恐ろしい裏の顔を持つ人間だった。何年も前の事を根に持ち、お局たちを嫌っているし、私に前の店長の悪口を吹き込みその内容は自分自身や社長の罪をなすりつけでっち上げた人物像だった。



私は本当に心から信用していたし、行動にちょっと疑問に思うこともあったけれどあまり気にするほどの事でもなかったし。



私が店長と社長、特に店長に気に入られてたのは私がきちんと成績を残せるからじゃなかったんだ、過去を何も知らない自分の色に染められるからなのと自分の子どもが精神病になっていたからそれを被せていたから。



恥ずかしくなる。



これからどんな顔して会えば良いのか。



それにしても、私は四半世紀近く生きていて未だに人を見る目がないな。