家出をした

入院をすすめられた水曜からその週は何とか家にいて耐えていた。でも、やっぱり何もかもダメで家出をした。


いつも通り仕事に行く支度をしつつ、大きなキャリーケースに洋服や荷物を詰め込んだ。彼はそれを何も言わずに見ていた。


そして早めに店長に迎えに来て貰い、彼氏には家を出る時に「愛してる好きだよ」とキスをした。そして店の目の前にあるビジネスホテルに降ろしてもらった。


それが日曜。


私はその週の水曜まで帰らないつもりで予約を取っていた。


月曜の出勤準備中に彼氏から電話があった。


帰ってこないの?どこにいるの?俺がだめなんだね。これからご飯はどう?


時間も時間だったので、ご飯はお断りしてその他のことについてはうまく言葉に出来なかったけど、少しずつ話した。


私は仲良くしていたい、彼氏と。

ピリピリ、カリカリしてるところを見せたくないし、それを伝染させて二人で膨れっ面していたくない。


だからこそ、距離を置く時間が必要なんだと。



本当は今すぐ会いたいけど、でもだめだと思う。頭の中で何度も言い聞かせた。



家出も早々にその日の仕事中に母親の叔母が亡くなったと連絡があった。母親の叔母は私たちにとってはおばあちゃんのような存在であり、また叔母も私たちを孫のように可愛がり私の母のことは娘のように可愛がってくれていた。そして、何かあった時は私たち家族が独り身の叔母の面倒を見ることになっていた。


日付が変わり火曜日になって店を閉め、私がホテルに戻った頃に母から泣きながら電話があり戻って来て欲しいと言われた。私も最期におばちゃんに会いたかった。


急いで身支度してチェックアウトをし家に帰り彼氏に事情を説明した。


火曜の夜に発つ飛行機を取り、仕事終わりの彼氏に空港まで送ってもらった。


その前に精神科に行き事情を説明して薬を貰い、店にも長期休暇を貰った。


本当は家がぐちゃぐちゃだからせめて少しでも片付けをしたかったのだけど、ほとんど寝てなかったのでそのままにして出発した。


葬儀などは行わないで直葬の予定だったのだけれど、友引が間に入ったのでその間に久しぶりに親戚にあったりおばちゃんの親友に会ったり。


私は私でスーパー銭湯で軽く息抜きしたり。


本当はしばらくいる予定だったのだけど、私が手伝えることもなさそうだから火葬が終わった日にすぐに戻った。平日だったけれど仕事の関係でちょうど有給を貰ってた彼氏が迎えに来てくれた。



そして、そこで私の墓問題が出た。というか、私たち家族の墓問題が出た。先祖代々の墓はあるけれど、事情があって私たち家族はそこには入れない。私は自分の先祖代々のお墓が好きで、いずれここに入れてもらえるのだと思っていたからびっくりした。



そこから、私の頭は墓のこと、それからもうすぐ来る確定申告のことでいっぱいになった。